1995年製作開始 2007年1月作成 2010年2月改訂
1 演劇とは複数の人間である。
1-1 複数の人間に対し、人間は価値判断をする。すなわち、面白い演劇、美しい演劇、退屈な演劇、これは演劇になっていない、などと感じる。
2 ある人間集団の構成員が自分の活動について納得しており、かつ、自分以外の構成員の活動についても納得しているとき、その集団は美しい演劇である。
2-1 人間は、自分が始めた活動について、活動している間は納得をしている。納得していないのならば、それはその人が始めた活動ではない。
2-2 人間は、何かをきっかけにして始める。ただし、それがきっかけといえるのは、始ったことときっかけが、少なくとも始めた本人にとっては、飛躍があると感じられるときだけだ。このようなことは奇跡であるが、また、人間においてこのような奇跡はしばしばおきる。
2-2-1 よい演技とは、今始った活動である。よって、再演を前提とするような演劇作品においては、同じ行為を毎回、今始めることができる人間がよい俳優であり、そのための技術が演技術とされる。
2-3 戯曲は人間が何かを始めるきっかけでり、またそういうものを全て戯曲である。
2-3-1 戯曲を制作するのが劇作家である。
解説:
2010年2月現在の岸井大輔による演劇の形式化。1を定義、2を特殊、と呼んでいる。2を特殊と呼ぶのは、例えば、2までだと他者を否定することがはいらない。
現在は、否定―美―共同体をテーマに、演劇一般の形式化を考えています。